キットそのものはもう皆さんご存知の通りだと思うのだが既存の国内仕様のセリカXXをベースに
北米輸出仕様のセリカスープラにするためにパーツが大幅に追加されており
ドアミラー・ダッシュボード・リアスポイラー・ワイドフェンダーホイールなどが専用品となる。(タイヤはポテンザRE88)
そこにクリアパーツとメッキパーツを組み合わせる回転灯を追加してロングビーチのマーシャルカーとした物である。
タミヤのキットなので基本的には当時物との違いはそこまで無いが気づいた範囲で・・・・・
モーターライズオミット
オマケのベルーガオミット
フロントグリルのエンブレムが2.8GTからTOYOTAに変更(前回のXXの時点でデカール対応に金型改修)
箱・説明書・デカール類が一部変更モ子ちゃんや点滅回路の組み込み方のリーフレット入っていなかった。これは当たり前であるのだが。という感じである・・・・捉え方は個々の自由では有ると思うが
モーターライズとベルーガはセリカXXの時のも書いたが諸般の事情であろう。
フロントグリルエンブレムは正規のものに近づけるために修正されたという点が素晴らしいと思う。
私のような人間は金型改修前をありがたがってしまうが、率直にこういうブラッシュアップは大歓迎である。
というか当時物もエンブレムが2.8GTでも全く違和感を感じなかったが正式にはTOYOTAのようである。
オーバーフェンダーはやや大きめに感じなくもないがこんなものなのかもと思う。
個人的にはゲート上部に装着されるリアスポイラーが個人的に好きな形状である。

また、バリエーション展開物とはいえ当時は200円アップで収まっている辺りがなんともタミヤらしいが
(今回の再販物はXXと比べると300円アップだがそれでもお得な気がする。)
割と思い切った投資であると感じる。スープラ専用パーツもアツいが回転灯パーツの出来の良さも特筆すべきだろう。

当時としては回転灯パーツは結構凝っている印象である。今では分割ライン等もっとうまく出来るのかもしれないが
メッキのリフレクターに合わせてクリア成形されているのが魅力的であるし
固定するベース部分も別パーツである。この辺りはなんともタミヤらしい。
少し見づらくて恐縮であるがこちらがそのフロントグリルのエンブレムである。
ちなみに手持ちの当時物はしまい込んでしまってあるので金型改修前のセリカXXのボディと比較させて頂いた。

個人的には厚塗り野郎なのでエンブレムはモールドよりデカールのほうが良いので
そういった意味でもこういう改修は大歓迎であるとあえて書いておきたい。
また、過去の名作でもこういう所がブラッシュアップされることでスケールモデルとしての魅力も増すものである。
余談ではあるがこのキットは私が子供の頃(平成初頭)くらいには模型店でも見かけるキットであった。
実は前回の時は書かなかったのだがこのキットの存在でセリカXXの輸出名がスープラという事を知ったのである。
・・・・というのも産まれた時からの車好きと言われている私の幼い頃の私の記憶の中では
A70系スープラがデビューしたばかりでスープラというものはA70系がスタートだと思っていたのである。
それが模型店で見かけるこのキットはどう見てもセリカXXのキットなのにスープラと書いてあるのが解せなかったのだ。
何気なく父親に聞くと「ああ。セリカは向こうだとスープラだからな」という答えが帰ってきた。
その時セリカXX=スープラということを認識したのである。
ただ、この時の父親の答えは今ではツッコミどころが全開であるのだがご勘弁いただきたい。
(XXの輸出仕様がスープラでありXXという通称が使えなかったのは有名な話なので割愛。)

このキットの当時の印象は高額なキットというイメージだった。
というのもセリカXXが700円だったので900円という+200円の値段の差は小学生の時には大きかった。
何にせよ200円という値段は小学生の頃には駄菓子屋で思いっきり豪遊できる値段である。
前述の当時物のレビューでも書いたがそういうこともありどうせお金を出すなら・・・ということで
アオシマのニュートレンドやスリットマスク・フジミのインチアップにハイソカーなどのわかりやすい車系のキットを
買うことが多くなっていたがタミヤのスポーツカーシリーズは出来が良いのに安いという印象だった。
組みやすく非常にカッチリとしていた印象で私の祖父がタミヤのスポーツカーシリーズにキットを見て
「このメーカーのプラモデルはかなり考えて設計されている」と言っていたことを思い出した。
特にフロントのステアリング機構周りのカッチリ感とナックル部に入れるポリキャップに
リベットをホイールの外から押し込む方式に感銘を受けていたのを思い出す。
(私はR30スカイラインや910ブルのように引っ込んでしまうのが嫌で逆に浅く差し込んでいた。)
というのも私はフジミのキットのマイナスネジのねじ込みが苦手だった上に
他社に多かったホイールにリベットをハンマーで打つ方式だと強く叩きすぎてホイールを壊してしまったこともあった。
よく祖父に泣きついて直してもらったのでタミヤのプラモがすんなり組めたことで驚きを感じたようである。
確かその時のキットはR30スカイラインのGT-ESだったと記憶している。
祖父が曰くフロントのステアリング機構と車軸の回転部分という難しい部分に
極力失敗しにくい構造でありつつ、なおかつ車輪がきちんと回転する点がとても良く考えられていると考察をしていた。
そういう事もあってタミヤのプラモデルの出来の良さというのは特筆していた印象である。
700円シリーズの車種はもちろん当時は型落ちになったばかりくらいの車種も多かったのも魅力であった。

そんなあの頃を思い出すキットの再販。これを2800円で出した頂いた辺りは今の時代ではバーゲンプライスだと感じる。
ちなみに私は当時物をこのキット2個半位の値段で購入したのでそう考えたら今回の再販版の方が良かったも言える。
私がもし関係者だったら3500円くらいで売ってしまうと思うが、そのあたりがやはり流石タミヤと言えるところだと思う。
今でも強気な価格設定の中古キットの出物も有るが、よほど思い入れが無い限りは今回の再販版を買うのが良いと思う。
いつも書いてるので、もはやテンプレートにしても良いと思うくらいなのだが
やはり一番手に取ってもらいたいのはやはりこのキットの現役当時を知らない若い世代の方である。
設計や構成は最近のキットとは違うけれども今でも通用する素晴らしい内容。
もちろんあの頃の想いをを共有している同世代の方や、偉大なる先輩達も当時を懐かしんで楽しめる。そんなキットであると思う。
お店で現物を見た時に思わずニヤリとさせられたのは、きっと懐かしさも強かったが
中身や箱が少し変われど新品特有の艶々でパンと張った箱にこのキットの発売当時の香りを感じたからであろうか。
良いものは時代を超えても良いものだと改めて感じた次第である。
やはりこの時代の名キットたち・・・・どうか定期的に再販して頂ければとも感じてしまった。